平成30年度夏期アメリカ看護研修を実施しました

2018/10/05

Keiro Northwest

 2018年8月31日(金)~9月13日(木)の2週間、夏期アメリカ看護研修をワシントン州シアトル市で行い、アメリカの看護と文化について学んできました。参加者は、学生11名(3年生10名、2年生1名)でした。

研修内容

1. 視察先

① University of Washington (ワシントン大学構内での講義)
② Harborview Medical Center (アメリア国内でも屈指の救急病院)
③ Keiro Northwest (アメリカ日系人が多く入居している重症度の高い高齢者施設)
④ Nikkei Manor (アメリカ日系人が多く入居しているサービス付き高齢者住居)
⑤ University of Washington School of Nursing Simulation Center
(ワシントン大学看護学部の看護シミュレーションセンター)
⑥ Carolyn Downs Family Medical Center (低所得者のための診療所)
⑦ Seattle Central College (シアトルへ留学してきた学生が多く通うカレッジ)

2. 講義からの学び

 現在ワシントン大学で准教授をされている上月頼子先生からアメリカの医療システムと看護体制についての講義を受けました。先生からの生々しい具体事例を交えた説明を受けると、改めて平等な医療を受けられる日本の皆保険制度のすばらしさを実感させられました。アメリカの国土の大きさや医療システムによってナースプラクティショナーが必要とされる実情についても学ぶことができました。また、現地の小児循環器病院で勤めていらっしゃるヨーコ・ハンセンさんからアメリカの病院勤務についてのお話をうかがいました。女性が子育てをしながら働きやすい環境に整っていることや多職種連携が整備されているお話などは、今後病院で働いていくうえでとても参考になる内容でした。

3. 視察先での学び

Medic One

 「百聞は一見に如かず」の言葉通り現地のスタッフの活躍を間近で感じながら見学することで、一層知識を深めることができました。Harborview Medical Centerでは、普段は見ることができない施設内やMedic Oneの車内を見学し、Carolyn Downs Family Medical Centerでは、スタッフが自分たちの体験を語って下さいました。Keiro Northwest、Nikkei Manorでは、入居者と学生が英語と日本語を交えた楽しい会話の時間を過ごすことができました。ワシントン大学看護学部の看護シミュレーションセンターでは、最新のモデル人形でのフィジカルアセスメントの体験、診察室や個室での臨場感のある看護演習についての説明を受け、ワシントン大学の学生の学習意欲の強さと教員の熱意を感じました。

4. アメリカの生活と英会話

クロージングセレモニー

 学生は、ホームステイを通じてアメリカの文化と英語での会話を学びました。戸惑いや不安はありましたが、ホストファミリーからバスや電車の乗り方を教わりながら学校へ通うことができました。英会話レッスンでは、ホームステイ中によく使われる表現や日本人の判別しにくい発音などを練習し、丁寧な指導を受け、クロージングセレモニーでは、全員が見事なプレゼンを英語で行うことができました。

 

 

 

活動報告

シアトルとワシントン大学の魅力

引率:助教 磯 光江

 出発した8月31日は、日本は台風の接近で大荒れでしたが、シアトルに到着すると打って変わってカラリと晴れて、研修期間中は雨が降ることなく快適に過ごすことができました。普段のシアトルは、曇って雨が降ることが多い地方なのですが9月は一年の中で最も気候が良く、いい時期に来られてよかったと現地の方々は話していました。
 学生たちもこの最高の天候のもと、ホストファミリーと週末は郊外へ出掛けたり、BBQをしてアメリカならではの文化を感じることができたようです。ワシントン大学は、シアトルの北部に位置しておりその規模の大きさと歴史ある建物の美しさに感動しました。昨年リニューアルしたばかりの看護学部のシミュレーションセンターは、外部の看護師にも開放しており様々なシチュエーションができるように整備されていました。フィジカル専門のスタッフも常任しているので、知識も演習も学ぶ面においてとても恵まれている大学でした。
 2週間の短い研修でしたが、学生たちにとって初めての異文化交流の経験や日本では学ぶことができない看護の学びがたくさんありました。この貴重な研修の学びを将来の日本の医療・保健・福祉に役立ててくれることを期待しています。

アメリカ看護研修を経験して

3年 立川 啓太

 シアトルでの2週間は毎日が刺激にあふれていました。はじめはホームステイ先での英会話はもちろん、買い物や飲食店で注文をするだけでも緊張しました。しかし過ごしていくうちにアメリカの文化にも慣れ、楽しむことができした。
 様々な医療施設を訪ね、また現地で働く人の話を聞くと、日本とアメリカの医療制度が異なる理由は、文化の違いが背景にあるからであると考えるようになりました。アメリカは日本に比べはるかに多くの文化が国の中に存在しているため、物事の考え方も様々です。そのため国は統一したルールを細かく設けるのではなく、選択肢を多く用意することでその国民性に対応しているように思いました。日本との違いをひも解いていき、その理由を考えることで、自分なりにアメリカの医療制度・看護師の役割を理解することができました。
 英語や文化に慣れてくると、自分の視野がぐんと広がるのを感じました。この2週間は自分を成長させてくれました。